コロナウィルス騒動顛末記 持続化給付金詐欺師❸
持続化給付金を不正に入手!「コロナ詐欺師」の悪質すぎる手口
「いままでいろんな違法ビジネスに手を染めてきましたが、これほどラクに500万円が手に入りそうなことはないです」
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そう得意そうに笑うのは、ネットワークビジネスや仮想通貨詐欺、闇金まがいの資金調達まで、数々の裏の仕事を手がけてきたという40代男性・N氏だ。
新型コロナウイルスの流行で打撃を受けた国民への経済支援が急がれるいま、火事場泥棒のごとくそれらの支援策を食い物にする人間が現れ始めている。
中小企業や個人事業主を対象に創設された『持続化給付金』を違法に詐取するN氏も、そうした人間の一人だ。
経済産業省が創設した『持続化給付金』。受給資格は、売り上げが前年同月比で50%以上減少している月がある事業者で、中小企業には最大200万円、個人事業主には最大100万円が支給される。政府は、130万件の支給を想定し、2兆3000億円を予算として計上している。
だが、N氏のビジネスが新型コロナウイルスにより大きな打撃を受けたわけではない。当然、前年同月比で売り上げが50%以上減少した月もない。それなのに、最大支給額の100万円や200万円どころか500万円が手に入るとは、どういうわけなのか。N氏がその手口を明かす。
「持続化給付金の給付額の算定方法はすごく単純。前年同月比でもっとも落ち込んだ月の売り上げに12をかけて、昨年の売上総額から引けばいいんです。申請には昨年の確定申告書や法人事業概況説明書などの書類の控えを提出しなければいけないですが、今年の売り上げに関しては自己申告でいい。つまり今年の帳簿上で、ある月の売り上げを前後の月に分散させて前年同月の半分以下にすれば、給付金が受け取れます。
自分は会社を2社持っていますが、どちらも節税目的のペーパーカンパニーなので昨年の売り上げはほぼなかった。そこで、税務署に修正申告書を提出して200万円ほどの売り上げを粉飾しました。同時に経費も200万円分付けたので、利益はゼロで法人税もゼロ。この方法でペーパーカンパニー2社+自分の個人名(個人事業主として)で3件、計500万円分の給付金を申請したわけです。税務署への修正申告と合わせても、3件で1時間もあれば申請できます」
架空の数字を申告することにリスクは感じないのか。
「持続化給付金は経産省が急ぎに急いで新設したザル制度。国税庁とは違い申告内容の裏取りすらされません。そもそも、経産省と、国税庁を管轄する財務省は仲が悪いので、連携も取れていない。リスクを感じることなんてないですよ」
一方でN氏は、「自分なんて控えめなほうですよ」と言い放つ。
「ネットワークビジネスを手掛けてる連中は、節税のためにペーパーカンパニーを3~4社持ってることもザラ。8社分、計1600万円の申請をした仲間もいます。自分の知り合いだけで、もう200件は申請されています。生活に困ってるヤツなんて一人もいませんが、カネくれるっていうなら、そりゃもらいますよ(笑)」
これらの犯罪に対応する手立てはないのか。詐欺事情に詳しい『わたなべ法律会計事務所』の加藤博太郎弁護士はこう解説する。
「給付金の不正受給は詐欺罪に該当しますが、持続化給付金に関して詐欺罪を立証することは難しいでしょう。今年の売り上げを低く見せるために計上日を前後させたとしても、詐欺を目的にしたものかどうかを判断することは困難だからです。130万件に上る申請書類をくまなく精査することもほぼ不可能。また、税金の過少申告は罪に問われますが、小規模の過大申告は事件化できないでしょう」
5月7日時点で持続化給付金の申請件数は50万件を超えており、すでに予算の3分の1が消化されたと言われている。そのうち、いったいどれだけが不正申請によるものなのか―。国には、簡単に不正申請できてしまう現在の制度を是正するとともに、N氏のような不正受給者を厳格に取り締まる責任がある。
5月15日発売の『FRIDAY』最新号では、N氏が実際に税務署に提出した申告書の写真とともに、その手口を詳報している。
ペーパー8社で1600万円を不正受給「持続化給付金200万円」に群がる悪党たち
税務署の収受印を偽造する者も
「俺なんて控えめなほうだよ。仮想通貨とかネットワークビジネスやってる連中なんて、節税のためにペーパーカンパニーを3、4社持ってることもザラ。8社分で申請出してる仲間もいる。金に困ってるヤツは一人もいないけど、くれるっていうならもらうよね」
奥窪氏によると、「悪質な業者だと税務署の収受印を偽造して、確定申告書の偽の控えをコロナ関連の給付金や融資審査に提出する者もいる。これはかつて、個人の住宅ローンなどで使われた裏技ですが、最近では法人名義でのコロナ関連の融資の審査にも使われている」と明かす。
中小企業庁は持続化給付金の不正受給の審査をしており、経営者が法人とフリーランスの二重に申請するなどのケースがあることを把握しているという。このような二重申請に違法性はないのか。
奥窪氏が「持続化給付金事業コールセンター」に、「法人とフリーランスの二重申請」が可能なのか問い合わせてみたところ、電話口の男性オペレーターは「個人事業主として事業収入があり必要書類が揃えられるのなら、法人と両方で受給は可能」と答えたという。さらに、「同一人物が代表を務める法人が複数あっても、条件を満たしていればそれぞれで受給可能」との回答も得られた。あくまで別人格の事業者にはそれぞれに受給資格があるということになりそうだが、今後、より厳密な不正受給者の調査が行われていくだろう。
最近、持続化給付金の不正受給による逮捕が報道され、「怖くなかったから返金したい」といった相談が中小企業庁や警察に寄せられているという。安易な気持ちで不正に手を染めてはいけない。
<取材・文/SPA!編集部>
学生が詐欺罪容疑で逮捕!持続化給付金の「不正受給」のペナルティはこんなに重い
5月1日に始まった持続化給付金は、新型コロナウイルスで収入が激減した事業主の救済策となりました。一方、不正受給や悪徳業者の横行の噂も耳にします。「スマホで軽く100万円」なんて聞くと誰でも心が揺れる不正受給、実はかなり大きいリスクをはらんでいるのです。
山梨県警が埼玉県在住の大学生を持続化給付金に関わる詐欺の疑いで逮捕しました。この大学生は実態がないにもかかわらず5月半ばに個人事業主として確定申告、年間事業収入欄に架空の売上を記入して100万円の持続化給付金を受給していた模様です。
ただ、これは氷山の一角に過ぎません。この事件が明るみに出る以前から不正受給の噂はインターネット上に出回っていました。
●経済産業省が7月から不正受給の調査を開始
持続化給付金を管轄する経済産業省は今月上旬から不正受給の調査を始めたことを明らかにしました。簡素な手続きが不正受給の温床となっていること、さらに「誰でも貰える」とサラリーマンや主婦、無職や学生といった本来受給資格のない人に不正受給を促し、申請代行をもちかける悪徳業者の横行が背景にあるようです。事実、SNSでは一時期、持続化給付金の申請代行を勧誘する不審なアカウントが散見されました。こういった現象も簡素な手続きが一因とみられます。
●手続が簡単な持続化給付金
どれくらい手続きが簡単なのかをここで見てみましょう。持続化給付金は基本的に、次の書類があれば申請できます。
・2019年の確定申告書第一表+青色申告決算書等(個人事業主)又は事業概況説明書(法人)の各控
・売上が減ったことが分かる書類(売上台帳など)
・本人確認書類(マイナンバーカードや運手免許証など)
・預貯金の口座情報
申請はPCやスマホでできます。オンライン申請に自信がないならサポート会場でスタッフに手伝ってもらいながら申請すればよいのです!
■持続化給付金の不正受給になる行為とは
不正受給とされる行為は主に次の4つのような行為です。
●二重申請
持続化給付金は本来1回だけしか申請・受給できません。2回受け取ったら不正受給になります。中小企業の経営者がいったん会社で持続化給付金を申請・受給した後、フリーランスとして申請し給付金を受け取ったら二重申請に該当するのです。
●恣意的な売上操作
持続化給付金は今年の特定の月の売上が前年に比して少なければ少ないほどたくさんもらえます。そのせいか、事業主の中にはわざと売上計上を先送りしてなるべく多く受給しようとする人もいるようです。この行為が悪質であれば不正受給に該当します。
●資格がないのに偽り受給
無職やサラリーマン、学生などが個人事業主と偽って申請・受給するのも不正受給です。独立して事業を営んでいるわけでもないのに「ハンドメイドで生計を立てている」と嘘の決算書と確定申告書を作成し、嘘の売上台帳を作成して申請・受給するのがこれにあたります。
ただし、実質個人事業主なのに契約先の都合で「給与所得」「雑所得」で報酬を受け取っているなら不正受給にはなりません。
【参考】雑所得・給与所得のフリーランスも29日から対象に!持続化給付金の受給要件まとめ
●コロナ禍ではない原因も不正受給
持続化給付金の趣旨・目的はあくまでも新型コロナウイルスの影響により収入減となった事業主の救済です。そのため、減収の原因がコロナ禍ではなく契約打ち切りといった別の要素であるにもかかわらず給付金を受け取れば不正受給になります。
「日本郵政グループの営業社員約120人が不正に持続化給付金を申請していた」と6月下旬に報道されました。これはコロナ禍ではなく不適切販売問題による営業自粛なのに申請したから問題になったのです。
この他、制度趣旨や目的に沿わない内容も不正受給に当たると見られます。
■不正受給したときのペナルティ3つ
もし持続化給付金の不正受給が発覚すると次の3つのペナルティが科されます。
●「受給額+α」を返還する
持続化給付金の不正受給がバレると、給付額の返還が求められます。ただし給付額そのものだけでなく次の金額も請求対象です。
・延滞金:給付額×年3%×(給付の日の翌日から返還の日までの日数)/365日
・(給付金の額+延滞金の額)×20%
また、返還請求に応じない場合には、民事訴訟が提起され、返還せざるを得ない状況になる可能性があります。
●不正受給者の公表
不正の内容の度合いによっては、屋号やペンネームなどが公表されます。
●詐欺罪として刑事告訴
不正内容が悪質だと見られれば、詐欺罪として刑事告訴の対象となります。
■悪徳業者の甘言には要注意
以上3つは不正受給そのもののペナルティですが、業者の甘言に乗って申請代行を依頼すると、さらに怖い現実が待っています。それは個人情報の悪用です。
申請代行を依頼すると、業者に氏名や住所、預貯金口座や収入、生年月日といった個人の重要な情報を渡すことになります。マイナンバーカードや運転免許証の画像を素性の分からない相手に渡すわけです。相手によっては個人情報を犯罪に利用することもあるでしょう。
■不正受給がバレれば社会的信用を失う
不正受給でもっとも大きい損失は社会的な信用の喪失です。冒頭にご紹介した大学生は、今回の件で将来の就職や転職、ローン申請が難しくなるかもしれません。たった100万円でこの先の長い人生を棒に振ってしまうかもしれないのです。
この他、家賃支援給付金や各種補助金といったコロナ禍関連のお金がありますが、いずれも不正受給は厳しく追及されます。目先のお金につられることなく、甘い言葉には乗らないようにしましょう。
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