コロナウィルス騒動顛末記 アメリカ大統領選挙#3

バイデンにとって、副大統領候補を選ぶにあたっては次の5つの基準が重要となるだろう。
①11月3日の選挙で誰ならば最もバイデンの勝利を助けることができるか、②バイデンが勝利するとして、誰が最もバイデンを副大統領としてホワイトハウス内でサポートすることができるか、③バイデンが大統領任期中に職務の遂行ができなくなった場合に、誰が代わりの大統領として最も準備ができているか? ④2024年の大統領選挙に出馬して、民主党に次世代のリーダーシップをもたらすのに誰が最も適任か、⑤バイデンが「シンパティコ (相性のよさ)」を感じるのは誰かーー。
6月半ば時点では、以下の11人(アルファベット順)が主要な副大統領候補と見られている。
ステイシー・エイブラムス 元ジョージア州議会議員(46)、 タミー・ボールドウィン ウィスコンシン州選出上院議員 (58)、 ケイシャ・ランス・ボトムズ アトランタ市長(50)、バル・デミングズ フロリダ州選出下院議員(63)、 タミー・ダックワーズ イリノイ州選出上院議員(52)、ミシェル・ルーハン・グリシャム ニューメキシコ州知事(60)、 カマラ・ハリス カリフォルニア州選出上院議員(55)、ジーナ・ライモンド ロードアイランド州知事(49) 、スーザン・ライス 元国家安全保障会議議長・大統領補佐官(55)、エリザベス・ウォーレン マサチューセッツ州選出上院議員(71)、そして、グレッチェン・ホイットマー ミシガン州知事(48)
エイブラムス、ボトムズ、デミングズ、ハリス、およびライスはアフリカ系アメリカ人、ダックワーズはアジア系アメリカ人、グリシャムはラテン系である。
バイデンが2月29日に開催されたサウスカロライナ州の予備選挙を勝利した後、民主党は一丸となってバイデンを支援することにした。バーニー・サンダース上院議員ではなく、バイデンにこそ11月3日の大統領選挙でトランプに勝利するチャンスが最もあると感じたからというのがその理由のひとつだ。



しかし、東海岸の小さな州出身で77歳の白人男性であるバイデンは、若者、女性、有色人種、東海岸以外の地域の有権者の間で支持を高める必要があることにも民主党は認識していた。
こうした基準に基づけば、最も適格な人物はカマラ・ハリスであるかもしれない。ジャマイカ出身の父、インド出身の母を持ち、ハワード大学(アメリカの名門黒人大学)の卒業生であるハリスは、若者、女性、有色人種からの票を集めることができるとみられ、出身すもカリフォルニア州だからである。
しかし、 カリフォルニア州司法長官を務めていた時のハリスの経歴は彼女にとって不利に働くかもしれない。その経歴に鑑みると、アメリカの司法制度の根本からの改革を求める者たちはハリスでは革新性が不足していると考えているという声があるのだ。加えて、カリフォルニア州は強固な民主党の支持基盤であり、トランプではなくバイデンに投票することがすでに確実視されている。
さらに、バイデンが過去にスクールバシング(居住地域や人種に関係なくスクールバスでさまざまな地域の学校に子供たちを通学させることで人種差別や隔離を解消しようとした試みのこと)に反対していたことを、2019年7月5日にテレビ放映された民主党予備選挙の討論会で取り上げてバイデンを批判したハリスのことを、妻であるジルを含め、バイデンの側近たちの一部は許していないとされている。





激戦区で勝つためには
票を上積みするために、バイデンは以下の重要な激戦州を勝ち取るために助けとなる大統領候補を選ぶことが重要だと決意する可能性がある。
ホイットマー州知事の出身州であるミシガン州では、2016年の大統領選挙でヒラリー・クリントンがトランプにわずか1万票の差で敗れている。ボールドウィン上院議員の出身州であるウィスコンシン州では、2万2000票でクリントンがトランプに敗北。同じく激戦州のフロリダ州は、デミングズ下院議員の、ジョージア州はエイブラムスとボトムズ市長の出身州である。
仮に若いアフリカ系アメリカ人による投票数を増やすことが重要だとバイデンが考え、特に「ブラック・ライブズ・マター運動」の緊急性に鑑みるならば、エイブラムス、ボトムズ、デミングズ、ハリス、あるいはライスを副大統領候補として選ぶことにするかもしれない。ただし、エイブラムスとボトムズは国政における経験がなく、ライスは一度も公選職に就いたことがない。
ジミー・カーター元大統領(1977〜81)の下で副大統領を務めて有名となったウォルター・モンデールはよく現代の副大統領のモデルとして讃えられる。内政と外政の両方において山積みである複雑な問題の数々にバイデンが大統領として直面することを考えれば、カーターがモンデールに対して行ったように、主要な問題や責任を任せることのできる副大統領を選びたいとバイデンは思うだろう。

バイデンが「ブラック・ライブズ・マターこそが最優先事項である」と考えるなら、5人いるアフリカ系アメリカ人の候補たちから1人を選ぶかもしれない。一方で、アメリカの巨大な経済格差を改善するために、経済における構造的改革が必要だと思うならば、その年齢と人種はさておき、ウォーレンが魅力的な副大統領候補となるのではないか。
ダックワーズが副大統領になればアジア系アメリカ人では初となる副大統領として人種多様性をもたらすだろう。また、ダックワーズは軍役やイリノイ州選出の下院および上院議員としての経験に基づき、特に国家安全保障問題において自らの政策や法制に関する専門知識を活用する可能性が高い。ホイットマーならばミシガン州知事としての経験に基づき、行政におけるリーダーシップを発揮するだろう。これはロードアイランド州知事であるライモンドも同様だ。


来年1月に就任時点では78歳になるバイデン
高齢であるバイデンは、自分が任期中に職務の遂行ができなくなった時のために、自分の代わりに大統領として職務を行う準備が完全にできている人物を副大統領候補として選ぶと見られる。
大統領も務めうる副大統領候補として多くの人が考えていたのが、ミネソタ州選出の上院議員であるクロブシャーだ。同氏は上院議員を3期にわたって務めた経験を持ち、内政と外政の政策にも精通しているからである。
しかし、ミネアポリスで5月25日に起きた白人警官によるジョージ・フロイドの残酷な殺人事件と、それに続く抗議運動によって、上院議員になる前にミネソタ州ヘネピン郡の地方長官を務めていた時のクロブシャーの経歴はより厳格に詮索されることとなった。
6月18日にクロブシャーは、「前の晩にバイデンに電話をかけ、自分は副大統領候補を辞退する意思であることを伝え、副大統領候補には有色人種の人物を選ぶように強く勧めた」ことを公表した。すなわちその候補とは、5人のアフリカ系アメリカ人候補と、アジア系アメリカ人のダックワーズ上院議員とラテン系のグリシャム知事などである。
現在77歳のバイデンは、来年1月20日に大統領に就任する頃には78歳とになっており、アメリカの歴史で最も高齢の大統領となる。そのため、バイデンは自身が82歳になる2024年の選挙には再出馬しないだろうと観測筋のほとんどが考えている。これは、バイデンが副大統領候補として選ぶ人物が2024年に民主党のリーダーとして大統領選挙を戦うことになることを意味している。
バイデンはすでに女性を副大統領候補として選ぶと公言している。主要政党の大統領候補が女性を副大統領候補として選ぶのはこれが3例目で、多くない。1984年の選挙ではウォルター・モンデールがニューヨーク州選出の下院議員だったジェラルディン・フェラーロを、2008年の選挙ではジョン・マケインがアラスカ州知事のサラ・ペイリンをそれぞれ副大統領候補として選んでいる。
もし大統領にバイデンが選ばれれば、バイデンの選んだ副大統領候補は初の女性副大統領となるのに加えて、2024年の大統領選挙においても民主党の主要な大統領候補となる。こうした理由からも、バイデンの選択は歴史的なものになりうるのだ。
誰ならバイデンを勝たせられるか、誰なら副大統領として最善の補佐役になれるか、誰なら大統領の代理を務められるか、誰なら2024年以降の民主党の最善のリーダーになれるか。ここまで述べてきた4つの基準はどれも重要だ。


コロナウィルス騒動顛末記

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