コロナウィルス騒動顛末記 持続化給付金詐欺師❷
持続化給付の返金手続き一部停止 摘発恐れ、不正受給者の希望殺到
新型コロナ対策で個人事業主らに支給される持続化給付金を巡り、警察の摘発などを恐れる不正受給者から返還希望が殺到していることを受け、国が返金手続きの一部を7月から停止していることが6日、中小企業庁への取材で分かった。希望自体は受け付けているが、誰からの返金かを明確にするため個別に受付口座を準備中で、振り込みを待たせている状態が続いている。
今月下旬ごろをめどに返金の方法を郵送で案内する方針。
当初はいずれの受給者に対しても同じ口座に振り込ませていたが、名義の入力を誤るケースが続出。7月はさらに希望者が増え、返金方法を見直した。
税理士事務所に“行列” コロナ給付金不正キャバクラなどに情報出回る 「若い女の子やアジア系外国人がひっきりなし!!
新型コロナウイルスで経済的打撃を受けた中小企業や個人事業主を対象にした国の「持続化給付金」を巡り、那覇市松山のキャバクラなどの飲食店従業員の間で4~5月ごろ、「従業員でも受け取れる」といった情報が出回り、申請者が一時急増していたことが飲食関係者などへの取材で分かった。紹介した報酬として「数万円を受け取った」と明かす人も複数いる。不正受給に関与した疑いで県警の調べを受けている税理士事務所には、申請手続きのために行列ができていたという目撃証言もある。
松山で働く複数の関係者によると、受給に関する口コミが広がっていたのは今年4~5月ごろ。飲食や接客業の従業員らの間で「マルチ商法的に」広がり、申請者が増えていったという。「確か紹介料は2万~3万円ほどだった」(関係者)と話す人もいる。
キャバクラ店で働く30代女性は、周囲から申請を勧められたが「(提出するものが)面倒そうだったし、別の人から『危ないからやめた方がいい』と言われたので断った」という。
今回、県警の任意聴取を受けている税理士事務所には、飲食事業などを手掛ける正当な受給対象事業者に加え、本来対象ではない人の申請も相次いでいたとみられる。
ある飲食店オーナーは「事務所に行くと、20人ぐらいの列ができていた。周囲の路上駐車もひどかったですね」。事務所では整理券が配られ、スタッフが手際良くさばいていたという。
列を成して申請者が殺到していたのを目撃した近隣の男性は「確か5~6月ごろで、若い女の子やアジア系の外国人がひっきりなしに来ていた」。別の60代男性も「外車やすベンツ、ワゴン車が4~5台、路上駐車していて、何だろうと思った」と語った。
新型コロナウイルスを巡る「持続化給付金」の受給問題は、県内の主婦層にも広がっている。沖縄タイムスの取材に応じた2人の60代主婦は、マルチ商法の副業を基に「個人事業主」を名乗り100万円を受給した。1人は副業を理由に正当性を主張するが、別の1人は「やはり、もらえないお金だったのかも。家族にも言えず、どうしたらいいのか」と罪悪感をにじませる。怪しい話と思いながらも、親しい友人に誘われて「危ない橋」を渡る現状が垣間見える。(社会部・銘苅一哲、比嘉太一)
【写真】沖縄タイムス社員による不正受給を巡る流れ
■友人に誘われ
主婦のAさんは生活用品を扱うマルチ商法の会員として活動し、仲間の1人に持続化給付金の受給を勧誘された。「自分は受給できないんじゃないか」と警戒したが、勧誘してきた知人の「大丈夫だから」という言葉を信じた。
Aさんは知人に3万円を支払い、資産運用や融資を専門とするコンサルタント会社を紹介された。必要な書類をそろえて会社に提出すると100万円が自分の口座に振り込まれ、提示された手数料の10万円をコンサルタント会社に振り込んだ。
コンサルタント会社が、自身を「個人事業主」としてどう申請したかについては「サービス業かな? よく分からない」という。
Aさんはマルチ商法で月に1~2万円の利益があった。従来の年間利益を上回る100万円の受給をどう考えるか記者に問われ「テレビでもよく不正受給のニュースを見る。だけど、私は罪を犯したの? 給付金はコロナで打撃を受けた経済を潤わせる安倍首相の政策でしょう」と訴える。
■借金の返済に
一方で、別の主婦Bさんは「(不正受給問題が)新聞とかでたくさん報道され、心配になっている」と告白する。
紹介されたマルチ商法の利益は月に数百円程度。Aさんと同じ方法で給付金申請の代行を依頼し、100万円を手にした。
夫と2人の生活。年金でやりくりしている。100万円から勧誘料、手数料を差し引いた87万円の多くは借金の返済に充てた。「100万円を返すとしても、また借金をしないといけない。夫に知られたら…」と目を潤ませた。
■マルチ商法が入りやすい沖縄
三宅俊司さん(消費者市民ネット沖縄理事長・弁護士)の話
マルチ商法は最初に契約した上の人(営業店)がもうかり、後から入った末端の人(販売人)たちは、もうからない仕組みとなっている。末端の人たちが、使わない商品の在庫を抱えて支払いが滞ってしまっていることが多く、それを持続化給付金で補うために不正に利用させたとなれば、マルチ商法の上にいる人たちの行為はかなり悪質だ。
沖縄は親族や友人関係が濃い地域で、マルチ商法が入りやすい。人間関係を壊したくないが故に断りにくい、逃げ切れない人が多くいるのも特徴だ。今回のように、主婦がマルチ商法の仲間を勧誘するのはよくある話。営業店から「あなたも事業者だから問題ない」と言われれば、それをうのみにしてしまう人たちが多くいるのだろう。
不正受給ではないか、と疑わしい誘いに気付いた時には、きちんと断る勇気も必要だ。
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新型コロナの持続化給付金100万円詐欺か 兵庫・西宮市職員ら3人逮捕
新型コロナウイルスの影響で収入が減った個人事業主らを支援する国の「持続化給付金」の不正受給事件で、兵庫県警暴力団対策課と兵庫署などは28日、給付金100万円をだまし取ったとして、詐欺容疑で会社役員の男(48)=神戸市東灘区=を再逮捕。同容疑で新たに西宮市監査事務局副主査の男(39)=西宮市=ら男2人を逮捕した。
ほかに逮捕されたのは、大阪市都島区の建設作業員(30)。
3人の逮捕容疑は共謀し、6月14日、建設作業員の名義で受給資格がある別の職業を装い、新型コロナの影響で4月の収入が減ったとする虚偽の書類を使って中小企業庁に申請し、同26日、建設作業員の口座に100万円を入金させた疑い。同課は3人の認否を明かしていない。同課によると、西宮市職員の男は2人とそれぞれ面識があった。市職員が会社役員に建設作業員を紹介し、だまし取った給付金を3人で分けたとみて調べる。会社役員は詐欺罪で起訴されており、逮捕は3回目。
同市の石井登志郎市長は「市民の信頼を失墜させ、深くおわびする。詳細が判明し次第、厳正に対処する」とのコメントを出した。
前田恒彦 元特捜部主任検事の見解より
なぜ返還の希望が相次いでいるかというと、あまりにも不正受給が多く、全件調査に手間と時間を要することから、調査開始前に自ら返還すれば延滞金や加算金を請求しないとの方針を経産省が示したからです。逮捕者が相次いでいることも影響しています。
しかし、返還しても詐欺の事実は消えてなくなりませんし、東日本大震災をめぐる給付金や東電の賠償に際しても不正受給の横行が社会問題となっていたわけで、「バレなければそれまでだし、バレても弁償すればすむ」といった安易な犯行を防ぐためにも、悪質な事案については刑事告発すべきでしょう。
例えば、(1)新型コロナ騒動とは全く無関係に、単に売上減があったというだけで申請した、(2)売上額を実際よりも遥かに低く見せかける偽装をした、(3)実際よりも前年度の事業収入を高く装った確定申告書をねつ造した、といったケースについては、きちんと刑事責任を問うべきではないでしょうか。
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